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ポストコロナ時代の観光業

リリース日時:2022-02-25  閲覧回数:20
 
 
 
 

中秋節(旧暦8月15日、今年は9月21日)と国慶節(建国記念日、10月1日)の2つの連休がやってきて、一時は冷え込んでいた観光市場がまた息を吹き返している。しかし多くの人が「連休は旅行に行こう」と準備しているさなかに、中国国内ではこのほど新型コロナウイルス感染症の国内症例が散発的に確認された。

感染症対策が常態化する中で、世界と中国では旅行のスタイルが変化しつつある。

感染症対策が常態化する中での観光業

中秋節と国慶節の2つの連休期間に、複数の地域が通知を出し、旅行会社とオンライン旅行サービス企業による省・自治区・直轄市をまたがる団体ツアー及び「航空券+ホテル」業務を再開するとした。しかし9月10日以降、中国では感染者が散発的に確認され、特定の場所でクラスター感染が起きている。

輸入症例の防止、省・区・市をまたいだ旅行における「サーキットブレーカー」メカニズム(中・高リスクが発生した地域の省・区・市に対し、旅行会社及びオンライン旅行サービス企業による省・区・市をまたいだ団体ツアーと「航空券+ホテル」業務を一時的にストップするようにし、当該地域で感染者がゼロになったら、省・区・市をまたいだ旅行の取り扱いを再開すること)、分散型旅行……。ポストコロナ時代には、観光業は感染症対策が常態化する中で発展を遂げるとみられる。

旅行スタイルに変化

感染症の影響で、旅行のスタイルや習慣も変化している。

携程研究院の業界アナリストの方沢茜さんは、「最近の長距離旅行の予約データをモニタリングしてわかるのは、省・区・市をまたいだ旅行が開放された省・区・市では、短期間の旅行商品の予約件数が持続的に明らかに増加する傾向があることだ」と述べた。

河南大学文化産業・観光管理学院の陳楠教授は、「下半期は感染症対策が常態化する中で、観光市場は引き続き順調に発展することが予想される。ドライブ旅行が中心になり、観光客の多くが近場で日程の短いツアーを選択するようになり、博物館や記念館が旅行の人気スポットになり、省・区・市内の農村観光が消費の注目点になるだろう」と分析した。

北京第二外国語学院観光科学学院の鄧寧副院長は、「ドライブ旅行、中・短距離の周辺旅行、ホテルでのんびり過ごす旅行、テーマのある家族旅行などの商品が売れ筋になり、省・区・市をまたいだ旅行も徐々に回復して長距離の人気目的地が新たな局面を切り開くとみられる。同時に、観光客は農村観光、都市観光といった従来の観光地ではない目的地へと分散する可能性もある」との見方を示した。

海外旅行はいつ頃に再開?

感染症の中、多くの国では観光業が依然として低迷状態にあり、新たな目的地を探そうにも多くの人にとっては不可能な状況だ。

海外旅行が厳しく制限され、外国人観光客が入れない国は多く、そうした国の人々も海外に出かけることはできない。しかし海外旅行の再開を試みる国もある。タイ政府は最近、10月1日からインバウンド客に対する制限をさらに緩和し、首都バンコクなどより多くのエリアで(外国人観光客を隔離措置なしで受け入れる)「サンドボックス制度」を実施するとし、ワクチン接種を終えた外国人観光客の入国を認める計画だ。タイは7月1日からプーケット島で同制度を実施しており、すでに海外からの観光客に門戸を開いている。

9月14日、ボーイング社が発表した民間航空市場の今後の動きなどについてまとめた2021年版「ボーイング市場予測」によると、グローバル航空市場は基本的に同社が2020年に出した予測通りの回復を見せている。国内旅行ニーズの回復がこのトレンドを牽引しており、地域間市場も衛生関連と旅行関連の制限が緩和されるのに伴って回復し、最終的には長距離の海外旅行が2023年から2024年の間に感染症前の水準に戻るだろう。将来的には、航空機による短距離旅行市場は長期にわたって成長を続け、特に新興市場では、地域内の短距離旅行が観光業界のニーズの増加分の半分以上を占め、中国国内旅行だけで業界の新たな生産能力の17%を占めることが予測されるという。

ポストコロナ時代、都市観光再構築の5大トレンド

今の状況は理想的とは言えないが、観光業はいずれ回復するだろう。

ボーイングの予測では、アジアの航空会社の世界における市場シェアが引き続き上昇し、中国の観光客の占めるシェアが19年の15%から40年の20%に上昇し、アジア・太平洋地域の旅客の占めるシェアも19年の18%から40年の21%になるという。

調査会社のユーロモニターインターナショナルの予測では、アジア観光業の回復ペースが世界で最も速くなっている。21年にはカギとなる5つのトレンドが都市観光に影響を与えており、これからさらに強い反転上昇を引き起こす可能性があるという。

5大トレンドは次の通り。

(1)安全な旅行を優先する。感染症のため、各国政府はより包摂性と連携性がある観光戦略の策定を迫られている。各国が観光市場を再び開放するようになると、地域の同業者を通じて観光ルートを拡大することが、安全な旅行ルートを発展させるための第一歩になった。

(2)国内旅行からスタートする。海外旅行が予見可能な将来には引き続き深刻な影響を受けるとみられることから、各都市は観光の重点を再調整して、国内観光のポテンシャルを活用しようとしている。多くの地域の観光局が地元の観光客向けに方向性を絞った割引きや優待などのサービスを提供して地産地消型旅行を奨励している。

(3)デジタル化が回復を促進・加速する。デジタル化は観光業回復の中核になるとみられる。これまでデジタル化はオンライン旅行プラットフォームの予約プロセスにおける主要部分で、ブランドがデジタル化をイノベーションの一部分とし、これによって業界の中で上位をキープしてきた。そして現在、感染症によりデジタル技術の役割が極めて重要になった。ユーザーにシームレスな体験を提供するだけでなく、非接触式、追跡可能、スマート、バーチャル体験の技術が、信頼感の獲得とより安全な旅行の提供にとって極めて重要なものになった。

(4)責任と持続可能性は観光業再構築のカギだ。世界的な観光の停滞は観光関連機関と観光地にこれまでを見直す時間を与えた。それぞれの旅行商品と旅行戦略を再評価することは極めて重要なことだ。今回の感染症によって、現在の観光業の構造におけるある面の脆弱さと長期的な維持の困難さが明らかになった。人々は大衆の旅行による影響とこれが気候変動に与える影響について、より一致した認識を持つようになった。こうして生態環境保護の重要性が高まり、持続可能性が回復の中心的な場所に置かれるようになった。

(5)復元力によって回復する。感染症は観光当局に非常に大きな試練をもたらした。たとえば2020年ドバイ国際博覧会や東京五輪などの大型イベントが延期されたり中止されたりした。こうした大型イベントは都市の経済成長に大きく貢献するものであり、雇用と企業の成長の源泉でもある。21年の都市の主要トレンドの1つは、このようなイベントの運営に対する信頼感と安全性を構築して大型イベントを復活させることだ。