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】「2022年中央1号文書」をどのように読み解くか?

リリース日時:2022-02-25  閲覧回数:19
 
 
 
 

「2022年中央1号文書」である「2022年の農村振興における重点活動の全面的推進に関する中共中央と国務院の意見」が今月22日に発表された。21世紀に入ってから19件目の「三農(農業・農村・農民)」をめぐる活動を指導する中央1号文書となる。

8つの方面

今年の「中央1号文書」の内容は全部で8つの方面に及ぶ。(1)食糧の生産と重要農産物の供給の確保に全力を挙げる(2)現代農業の基礎的支援を強化する(3)大規模な再貧困化防止の最低ラインを断固守り抜く(4)産業を中心に農村の発展を促進する(5)農村建設を着実かつ安定的に推進する(6)農村のガバナンスの実効性ある改良に取り組む(7)政策的保障と体制・メカニズムのイノベーション力を強化する(8)党の「三農」をめぐる活動に対する全面的指導を堅持し強化する――の8方面だ。

キーワード(1) 食糧安全保障

今年の「中央1号文書」では、通年の「三農」活動の指導、農村振興の推進に関する措置を35項目も打ち出した。そのうち食糧安全保障に関するものが10数項目に上り、すべての措置の中でも優先項目とされた。同文書は「食糧安全保障」に全部で5回言及したとともに、食糧安全保障は党と政府が同等の責任を負い、食糧ストックの動態的監督管理を強化し、食糧の節約行動プランを実施すると強調しており、食糧安全保障の重要性が際立っている。

同文書は、食糧の生産と重要農産物の供給の確保に全力を挙げることを提起した。通年の食糧の作付面積と生産量を安定させることを打ち出した。また、中国が自国の食糧をどんな時も自分たちの手で保障できるようにし、食糧の作付面積の安定を確保し、生産量6億5000万トン以上を維持するとした。

なぜ食糧安全保障を絶えず強化しているのか。

食糧安全保障はこれまでずっと中国の「三農」活動における筆頭任務だった。農業の専門家である姜文来氏によると、「食糧安全保障は一貫して重要な位置を占めているだけでなく、今年の『中央1号文書』は冒頭で食糧安全保障に言及している。これは(今が)特殊な時期であり特殊な背景の下にあることを考慮してのことだ」という。

姜氏は、「新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延する中、一部の国は食糧の輸出に一定の制限を設け、国際食糧需給市場の局面に変化が生じ、世界の食糧をめぐる状況は複雑で変化に富むようになった。こうした時期には食料の自給率を高め、食糧安全保障が果たす安定装置としての役割を発揮させることが必要だ」と述べた。

国務院発展研究センター農村経済研究部の葉興慶部長兼研究員は、「現在、中国は百年間なかった大変動を迎えており、国際市場の変化に警戒しなければならず、特に海外のサプライチェーンの変動リスクに対して常に警戒を怠らないようにし、国際市場の変動に積極的に対応し、食糧の輸入先の多様化を推進しなければならない。また中国は14億の人口を擁する人口大国であり、食糧需要はこれからも増え続けると見られることから、食糧の安全をしっかりと保障しておかなければならない」と述べた。

キーワード(2) 種苗業の振興

今年の「中央1号文書」は、種子資源などの農業重要コア技術の難関攻略を大々的に推進することを打ち出した。そのため種苗業振興行動プランを全面的に実施する。農業の生殖質資源の一斉調査・収集の推進を加速し、正確な鑑定・評価を強化する。種苗業分野の国家重大イノベーションプラットフォーム構築を推進する。農業の生物(植物・動物)育種の重大プロジェクトをスタートする。農業重要コア技術の難関攻略プロジェクトの実施を加速させる。現代農業産業技術システムの構築を強化する。重大品種の研究開発と普及推進後に補助テスト事業を展開し、「種子法」を貫徹実施するとしている。

上海社会科学院国家ハイレベルシンクタンクのベテラン専門家である楊建文氏は、「種子資源の問題と種苗業発展の問題は大局に関わることであり、根本に関わってくる。昨年末に行われた中央経済政策会議では『種苗業の振興行動を踏み込んで実施する』ことが『中国が自国の食糧を自分たちの手で保障する』ことであるとして格上げされた。今回の『中央1号文書』でも、『重要』と『コア』の2語が重ねて用いられ、種子資源の技術的難関攻略の重要性が極めて強調された。『農業における種子資源の重要性は、おそらく工業分野におけるチップに劣らないだろう』と言っても、少しも大げさではない」と述べた。

キーワード(3) 再貧困化の防止

今年の「中央1号文書」は、大規模な再貧困化防止の最低ラインを断固守り抜き、貧困脱却者の持続的な収入増加を促進すると指摘した。そのため、貧困を脱却した地域が救済措置や支援ではなく自身の発展によって貧困脱却の難関攻略で得た成果を確固たるものとし、貧困を脱却した人々の暮らしがさらに向上するよう推進するとした。具体的な措置として、同文書は貧困脱却地域の特色ある産業を振興し、農業と連携し、農業を牽引するメカニズムを整備して、貧困脱却者の世帯収入を引き上げるよう求めた。

前出の楊氏は、「農村振興と再貧困化防止を結びつけることは、昨年の『中央1号文書』でもすでに提起されており、これまでに一定の経験を積み重ねてきた。農村の貧困問題を解決するには、ただ単に救済措置を打ち出すのでも、単純な一時的処置を施すのでもなく、長期的に効果を上げるメカニズムを重視し、統一的に計画・実施することが必要だ。そうすることで、短期的には大規模な再貧困化防止を確保することができ、長期的には農民の暮らしが持続的に改善され、それによって共同富裕への道を徐々に進むための条件が整えられることになる」と述べた。

キーワード(4) 農村のインフラ整備

今年の「中央1号文書」は農村建設について多くの計画を打ち出した。その中には農村の居住環境の整備向上5カ年行動、重点分野の農村インフラ整備、デジタル農村建設などが含まれる。

同文書は、農村の居住環境の整備向上5カ年行動を引き続き実施することを提起した。具体的措置として、農民の実際の需要に基づいた農村トイレ改革を推進し、条件を満たした地域で衛生的な水洗トイレを普及させ、水の供給保障と汚水処理などを全体的に計画実施することを認める、などがある。

同文書は、重点分野の農村インフラ整備を着実に展開する方針を明確にした。これには郷・鎮における3級以上の道路と比較的人口の多い自然村(組)におけるアスファルト道路の敷設を秩序よく推進すること、農村道路の安全生命防護プロジェクトと危険な橋の改修を実施することなどが含まれる。

また同文書は、デジタル農村建設の推進に力を入れる方針を打ち出した。これにはスマート農業の発展を推進して、情報技術(IT)と農業機械・農業技術との融合応用を促進すること、農村情報インフラ整備を強化することなどが含まれる。

上海財経大学長江デルタ・長江経済ベルト発展研究院の張学良執行院長は、「農村の質の高い生活については、デジタル技術による農村の公共サービス活性化を強調し、『インターネット+政務サービス』が農村に広がり、農村をカバーすることを推進するとした。また、基本的公共サービスの供給については、公共サービス機関の行政管轄エリアをカバーすることを重視する姿勢から、常住人口に対するサービスのカバーを重視する姿勢へと転換することも重点的に強調された」と述べた